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国税庁が「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)」のパブリックコメントを求めています。この制度は、副業(専業は別)×300万円以下の方に税制上、非常に悪い影響を与えそうです。
一体、国税庁は、何をする予定なのでしょうか? この記事では、雑所得や事業所得に関する解釈とその内容をご紹介していきます。
副業300万円以下は増税へ
サラリーマンの収入は「給与所得」の扱いを受けます。もし、サラリーマンでありながら、副業をしている場合は、次の3つの収入のいずれかであれば、経費が認められます。
- 事業所得
- 雑所得
- 不動産所得
例えば、ココナラ、ランサーズ等の副業サイト、YOUTUBE等を使い副業収入を得ていた方は、これまでは「事業所得」として申告していた方も多いでしょう。今回、国税庁は、この事業所得の基準を年間300万円として、それ以下を「雑所得」として扱おうとしているのです。
なぜ、事業所得が雑所得だといけないのでしょうか? この理由を説明していきます。
- 年間300万円を超える場合は、事業所得
- 年間300万円以下は、雑所得
副業実践者は年間300万円以下で雑所得の扱いをうける。
年間300万円は、月に換算すると、25万円前後です。副業実践者の中で、給料とは別に、毎月、25万円を得ている方は限定的でしょう。事実上、今回の改正案は、サラリーマン×副業実践者を狙い撃ちにしているといえるでしょう。
事業所得と雑所得の扱いは天と地の差とは?
事業所得が雑所得扱いになると、税制上、どのような不利益があるのでしょうか?
- 青色申告特別控除を適用できない。
- 損益通算ができない。
- 少額減価資産の特例を適用できない。
- 損失の繰り越しができない。
1.青色申告特別控除を適用できない。
事業所得は、複式簿記で帳簿付けをして電子申告をすることで、年間65万円を控除できます。
例えば、100万円の売上なら、65万円を引いて35万円の扱いにできます。まずは、この控除を適用できないです。=課税対象の所得が65万円増えます。
2・損益通算ができない。
損益通算は、本業の収入と給与収入の収支を出し、赤字額を「通算」する仕組みです。
例えば、事業の結果、最後に100万円の赤字が発生。一方、給与収入は、300万円。この場合は、300万-100万円=200万円が課税の対象です。結果、サラリーマンは、確定申告をすることで納めすぎている税金を還付してもらえます。
損益通算は、事業所得と給与所得間でできます。事業所得が雑所得扱いになると、給与収入との損益通算はできないです!
3.少額減価償却資産の特例を適用できない。
基本的に事業として一定額以上の商品を購入する場合は「減価償却(げんかしょうきゃく)」の仕組みを使い、毎月、一定額(率)を経費として計上できます。
例えば、1000万円の機械を購入しても、その年に1000万円を一括で計上はできないです。決められた法定耐用年数に従って計上していきます。
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しかし、個人事業主の内、一定の方には、年間300万円以下、かつ、単体の商品が30万円以下は、その年に一括して計上できる仕組みがあります。これが少額減価償却資産の特例です。
例えば、消費税込みの30万円のパソコンを購入。消費税込み30万円のバイクを購入するなどです。この場合は、どちらも30万円以下のため、一括で経費を計上ができます。=所得の圧縮効果が高い。
雑所得に分類される場合は、この少額減価償却資産の特例制度は使えないです。
4.損失の繰り越しができない。
事業所得の場合は、赤字が出ても、その赤字を三年間繰り越せます。
例えば、今年は100万円の赤字が出た。翌年、300万円の黒字が出た場合は、300万円-100万円の通算ができ、200万円の収入として税金を計算できます。雑所得は、赤字の繰り越しはできないです。
国税庁の狙いは? 真の狙いは損益通算つぶしでは?
2023年の10月からインボイス制度が完全に実施されます。これまでは1000万円以下は、益税の恩恵を受けていたわけですが、10月以降は、それも否定されます。(私は、インボイス対応済みの事業者です)やはり、小規模事業者感を狙い撃ちしています。
今回は、そんな小規模事業者とは別に、サラリーマン×副業実践者をターゲットにしています。私見では、今回の国税庁の狙いは「事業実態がない損益通算の撲滅」だと考えています。現在は、昔より副業が多様化しているため「事業性」を判断することが難しいです。
例えば、自宅の一室で「YOUTUBEを事業としてやっているんだ!」と主張する場合は、それにかかる費用は、経費として計上ができていました。今回の改正は、この経費部分を雑所得の計算でつかうか?事業所得の計算で使うのか?の部分に明確な基準を設けたのです。
年間収入が300万円以下は、雑所得の扱いをする!
これまでは、例えば…..
- 家賃10万円、4部屋の内、一つを配信に使ってる方2.5万円を計上
- 撮影中に○○を食べているから経費にする。
- 撮影のために電話を買っている。
- 撮影のためにネット回線を引いている。
- 一室で作業をするときに電気やガス、水道を使用しているから○○%を計上する
- 取材にいくから宿泊費を計上する。
- 取材先のご飯を食べるときにYOUTUBEの動画を取るから計上する。
等、事業と関連があると主張する場合は、比較的、経費にしやすい環境があったと思います。
その結果…
- 事業の収入が100万円
- 支出が150万円
- 最終的な収支が50万円
だとしましょう。そして、給与を500万円もらっている場合は…
500-50=450万円
が損益通算後の収益(所得税を計算するときの価格)として見なされていたのですね!で、今回の改正は、この制度を維持し、事業所得の基準を厳格にすることで、結果、損益通算がし難い環境にしようとしているのだと思います。
- 事業所得と給与所得=損益通算ができる。
- 雑所得と給与所得=損益通算できない。
まとめ
- サラリーマンかつ副業実践者は、今後は課税所得が上がる可能性が高い。
- もし、損益通算をしたければ、最低限、年間300万円以上の収入が必要
- 事業所得と雑所得は、どちらも経費を計上できる。でも、税制優遇制度が圧倒的に違う。
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