サラリーマンは、源泉徴収によって、否応なしに”必要な費用(所得税、住民税等)”が天引きされます。自営業者等と違い、額面給料を基準に算定されるので、自分の意志で調整することは難しいです。
しかし、天引きされた後に「認められている費用」を計上することで、結果、税金を取り換えす方法があります。その一つが「特定支出控除」です。=サラリーマンに認められる経費です。
例えば、交通費、書籍、各種資格スクールなどの費用です。これをサラリーマン業をする上での「必要な費用」として計上することで、税金を取り返せます。
正社員、非正規、パート、アルバイト等、雇用関係を問わず適用できるので、ぜひ、ご検討ください。この記事では、特定支出控除の概要、対象例等を説明していきます。
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サラリーマンは、特定支出控除を使い倒せ!
30代のサラリーマンは、基本的にプチリッチだと思う。収入の内、好きに使える「可処分所得」も、他の世代と比べて高いと思う。ただ、そんな世代であっても、少しでも”手取り”を増やしたいと思います。ここでいう、手取りとは、手残り=自分のポケットに残る金額だと考えてください。
源泉徴収で天引きされる給与
例えば、額面30万円の給与をもらっていても、実際に振り込まれる金額は、20%前後程、引かれた24万前後です。20%部分は、社会保険料、住民税、所得税等の合計です。
なので、毎日、8時間、1万円をもらっている場合は、国の為に1.6時間を無償で労働をして、その後、ようやく、自分の為に労働ができるとも考えられます。
残酷ですが、これが現実です。給与所得者である限り、この地獄のようなシステムからは免れることはできないです。しかし、お上も鬼ではないです。そんな「ムチ」の代わりに「アメ」も用意してくれています。それが「特定支出控除」です。
特定支出控除とは?
特定支出控除とは、自営業者に認められている「経費」のサラリーマンバージョンです。つまり、サラリーマンとして勤務するために必要な費用の内、一定の物を「サラリーマン経費」として認めて、所得から引いてあげますよ!という仕組みです。

給与所得控除後の所得金額から引けます!
国税庁の特定支出控除のページ
下記に示す項目を含めて、合計で7つあります。
1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
2 勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出(職務上の旅費)
3 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
引用元:国税庁
控除ができる項目例
費用名 | 代表例 |
通勤費 | 通勤するための費用 |
職務上の旅費 | 勤務地から離れて働くときに必要な費用
例:出張先の宿泊代金 |
転居費 | 転居する為の費用
例:現在、住んでいる所から、新しい勤務先に移動するときの引っ越し代金 |
研修費 | 職務に直接必要な知識や技能を得るための費用
例:土木関連の工事をする人が重機の研修を受ける等。 |
資格取得費 | 職務に必要な資格を得るための費用
例:電気設備工事をする人が○○級設備○○を取得する費用 |
帰宅旅費 | 単身赴任をしていて、自宅や職場等の間を移動するときの費用
例:単身赴任先から、自宅に帰省するときの交通費 |
勤務必要経費 | 職務上、必要な本、制服、作業着、給与支払い者の得意先との交際費、贈答品のお金
例:勤務する上で必要な知識や情報を得るために、○○という書籍を購入している。 |
こういう状況にある人は、活用できるかも!
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例えば、こういうことに当てはまる場合は、しっかりと調べることをお勧めします!
- 本当は、会社関連の本を買っているのに自腹で負担している~
- 通勤費は1万円しかもらっていないけれど、実際は、2万円程を支払っている。
- 自腹で会社で使う備品を買っている。
- 自腹で職務上、必要な資格を取得している。当然、その費用を自分で負担しているなど。
具体的な計算方法
特定支出控除は、以下の流れで計算します。
- 給与所得控除×1/2=基準金額
- 基準額と特定支出控除の合計金額を比較
- プラスなら、その分を引ける。マイナスなら引けない(特定支出控除を適用できない)
- +の場合の給与所得金額が決まる。
1.まずは基準金額を計算しよう!
源泉徴収票の支払い金額 | 給与所得控除の額 |
180万1円~360万円 | 収入金額×30%+8万 |
360万1円~660万円 | 収入金額×20%+44万 |
計算例:年収360万円
- 128万円(360×0.3+8)
- 128万円×1/2
- 基準金額=64万円
計算1:年収240万円
- 80万円(240×0.3+8)
- 80万円×1/2
- 基準金額=40万円
計算2:年収600万円
- 80万円(600×0.2+44)
- 164万円×1/2
- 基準金額=82万円
2.基準金額と特定支出控除の合計額を比較
次に特定支出の合計額を計算します。上記の7つの費用を全て合計しましょう!その合計額と基準金額を比較します!
3.計算結果が+なら引ける。マイナスなら利用できない。
計算例1:特定支出の合計額が80万円の場合
80万円-64万円=+16万円なので特定支出控除を利用できる!
計算例2:特定支出の合計額が50万円の場合
50万円-54円=-4万円なので、特定支出控除を利用できない。
4.特定支出控除を利用できる場合
計算例1の場合、特定支出控除を適用できます。適用できる場合は、さらに次の計算をします。
360万円(源泉徴収票の支払い金額)-128万円(給与所得控除額)-16万円(特定支出控除額)=216万円(給与所得の金額)
- 特定支出控除を適用しない→232万円に課税される。
- 特定支出控除を適用する→216万円に課税される。
つまり、税金の計算をする対象の価格が下がる為、結果、支払う税金が安くなります!
派遣社員でも活用ができる可能性あり!
例えば、派遣社員の場合は、通勤費は一日○○円迄~、月○○円まで~と限らている場合が多いですね。実際は、通勤費が3万円近くかかっているけれど、一万円しか支給されていない等も十分にあります。その場合は、差額2万円を通勤費として計上します。
仮に年収が240万円の場合は、特定支出を適用できるのかの基準は40万円です。まず通勤費の差額2万円の年間24万円を計上できます。
その他、臨時でどこどこにいってくれ~と言われたときの交通費、勤務する為の制服や作業着、勤務に関わる資格取得費用、仕事用のスマホ、通信契約など自分で支出しているなら、それらも計上します。

年収216万円と236万円は、手取り換算で年間15万円程変わります。となると、月間で1万円くらい所得が増えることになるため、活用することをお勧めします!
特定支出控除を適用するには?
特定支出控除を適用するには、確定申告が必要です。給与支払い者から、特定支出に関する証明書(7つの項目別)を発行してもらい、最寄りの税務署に確定申告する必要があります。
確定申告といっても、最近は、マイナバーカードを持っていれば、税務署に行かなくても申告ができます。事業主に証明書を発行してもらえれば、特に難しい手続きも不要で処理ができます。
税法によって認められている仕組みなので、ぜひ活用しましょう!